2025年問題で広がる格差と看護不足を補うために必要な雇用とは

 出典：suumo

年齢人口がずば抜けて多い「団塊の世代」は現在65歳ですが、10年後の2025年には後期高齢者である75歳にいよいよ突入します。全人口の4人に1人が後期高齢者となる超高齢社会になろうとしている日本の現状とこれからを真剣に考えてみましょう。

団塊の世代とは

第2次世界大戦後の第一次ベビーブームが起きた1947～1949年までの3年間に出生した世代のことです。この3年間の総出生数は約806万人との統計が取られています。

歩んできた時の流れや出来事からこの年代に一度ブームが起こるとたちまち巨大な消費市場へと成長する特徴があり、経済的に大きな影響力を及ぼす存在です。

2025年問題とその影響

年金制度の崩壊

出典：レクセル

年金制度は戦後の高度経済成長期に導入された制度です。言うなれば「団塊の世代」が共に歩んできた制度でもあります。

当時、ベビーブームによる低年齢層の増加と著しい経済発展の状況下で導入された仕組みは、現在の少子高齢化による下支えの減少を想定していたとは考えにくい状態です。

納付率も低下の一途をたどっていることから推測するに近い将来破綻へ追い込まれる可能性も否めません。もしくは受給額はかなり減った状態になると考えられます。

広がる格差社会

 出典：溶射の村田ボーリング技研

定年を迎えた「団塊の世代」が企業の新人教育や指導的立場として雇用契約を継続する話はよく耳にしますが、生きるために働くことは定年を過ぎても継続しています。

年金だけでは生活できないという現状があるからです。

しかしながら、全員が再雇用されるとは限りません。定年を迎えてから就職口を探す人も多く、運よく職にありつけたとしても慣れない環境から体調を崩したりすることもあります。

金銭面だけでは片付けられない格差が生じ、さらには広がりをみせています。

介護施設の飽和化と看護不足

「特別養護老人ホーム」や「介護老人保健施設」を略して“特養”や“老健”といったフレーズで耳にする機会があります。

家族での介護が難しい要介護者の日常生活の世話を24時間体制で見守り介護する施設が「特別養護老人ホーム」いわゆる“特養”です。施設によって異なりますが、利用料が安価である特徴があるため、入所待機者は2014年3月時点で約52万人にものぼります。

「介護老人保健施設」またの名を“老健”は“特養”の主旨とは異なり、リハビリを行って現在は自宅で自ら生活することが困難だが、機能的な回復をさせて自宅生活に復帰させることを目的としている施設です。

そのため、介護をするという共通点はありながらも短期的な利用となるので“特養”への入所待機場とすることも少なくはありません。

こうした待機者の多くは家族が在宅での介護をしており、老老介護となるケースや介護を苦にした事件へ発展する場合もあって決して満足な状態とはいえません。

介護職の担い手不足に拍車をかけ、10年後には「団塊の世代」が後期高齢者となることがわかっている今対策を講じなければならないのです。

必要な雇用対策

積極的な外国人の雇用

出典：U-NOTE

日本国民だけの視野で見ていると働き手不足に陥っている介護職ですが、外国人へ雇用の門戸をより広げるべきです。

日本語能力や介護技術の問題、文化の違いによるトラブルなど課題はありますが、単に担い手不足で手をこまねいているより、まずは人材を確保し、仕事内容や技術的なことに関しては少しずつ底上げをしていくやり方の方が介護問題解決への糸口になります。

東南アジア諸国で日本語を勉強し、日本での就職を目指している人は多くいます。「団塊の世代」の多くが介護を必要とするようになってからでは手遅れです。

保育施設不足による労働人口の減少

出典：保育士の求人情報

充実した子育て環境が整わなければ、子供の人数が増えることはありません。保育施設の建設や保育士養成に注力し、子供を預けられる環境が整えば、子供の世話から少しでも手が離れた親は労働や消費活動をするようになります。

間接的ですが、労働力の確保による雇用対策と少子化対策を好循環させるためには必要です。

何を言っても、これから迎えようとしている超高齢化社会の日本が、今後10年間で現状の悪循環を好循環に変えるためには、女性の力が何よりも不可欠であることは確かです。

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